以前 打ち合わせの際に
インテリアコーディネーターさんから
『私たちはデザイナーであってアーティストじゃないんだから』
と、言われたことがあります。
自分がなにか? など考えたこともなかったので
「え?!」と一瞬躊躇したものの
そのまま素通りしてしまいました。
『アーティストの・・』と肩書をつけて紹介されても
やっぱり「?!」としどろもどろになります。
以前スイスの恩師のもとで日々(土木)作業に勤しんでいたとき
助っ人として30代前半くらいのとても知的な女性が来ました。
彼女は小柄で物腰柔らかくエレガントで
「これから始まるイベントの会計処理をしに来た」と言っていました。
その後朝起きてから夜眠るまで、それはハードな作業が続き
恩師も私も体中が痛み、精神的にも追い詰められたころ
スッと彼女が私のところに来て話し始めたコト。。
『何年か前にも会計処理のお手伝いに来たことがあるの。
あと十数時間で開場なのに、作業が終わりそうになくて
私もかり出されたわ。
何に使うのかわからない何百個というリンゴを磨き、
今度はそれにひたすら串をさしていく。
体中汗とリンゴの汁にまみれて、すっごく臭かった。
開場ギリギリまで作業してたから外に出られなくて
トラックの下にもぐって寝たの。
みんなすっごく臭いし、下はアスファルトだし
でも夜通し作業したからもう眠くて
すぐ眠っちゃったわ。
そのときは「なんで私がこんなことを」と腹が立ったんだけど
今は一番の楽しい思い出になったの』
そんな話をしてにっこり笑って
どこかへ行ってしまった。
私もすっきりしてまた作業を始めました。
そう 何度も繰り返してきた‘あの感覚’はなにものにも代えがたく
また ついうっかり手をだしてしまう。
アドレナリンを出しまくっては
人知れずぼろぼろになってたりする。
心を動かされケモノと化す。
植物には常に
新しい面がある。
こういった感覚はアーティストやデザイナーに限らず
どんなジャンルの仕事、作業にもあるんじゃないかと思っています。
先日‘あの感覚’を知り一皮むけた作家さんからいただいたメールの言葉がとても嬉しく
「ようこそ ケモノミチへ」と祝福の気持ちでいっぱいなのです。