メモリー


このガラスの花瓶、見習い時代にお店からいただいたものです。
誰かの誕生日には、その人へプレゼントする花瓶に花束を入れて
控室に飾っておくのが習わしでした。
誕生日の朝店へ行くと、この花瓶がテーブルの中央に置いてあり
「私はこういうイメージなのか・・・。あんまり好きな色じゃないな・・・・・」正直そう思いました。
試験の花束で使った花瓶をいただいたり
気に入って自分で買った花瓶もあったけど
どちらも割れてしまった。
自分で気に入ったものよりも
気の合わなかった同僚が選んだ花瓶が残っているのは
なんなんだろ?


昨日友人がドイツで流行っているというゲームをアトリエに持ってきてくれて一勝負。
持ち豚(カードの)を泥だらけにしたら勝ちというこのゲーム。
発想のドイツ人らしさにクスクスとこみ上げてくるものがあり
ゲームしながら笑った笑った。
「こんな風に笑ってゲームをしたら皆仲良くなるね」
「来年は外国人、日本人入り混じってのこんなイベントをやろうね」
なんて話から
「そういえば…ニコルと『メモリー』を作ったよ…」と思い出す。

『メモリー』というのはカードゲームで2枚1組のペアを探す『神経衰弱』のようなゲーム。
カードの難易度も、町の名所が写真となっている簡単なものから
細かくデザインされた美しい絵が微妙に変えられているような難易度の高いものまで様々。
仕事が終わって食事をすませ ニコルとワインを飲みながら
最近あったさもないことを2枚ずつ描く。
「買い物行ったら牛乳が500円もして戸惑うアヤコ」(当時チューリッヒは世界一物価の高い都市でした)とか
「犬の散歩してたら逃げられて髪を振り乱し必死で追いかけるアヤコ」とか
二人しかしらないことを描いていく。
こういうことをして笑っていると心が通じ合うような気がしました。

ドイツの花屋で 日本にいたころの常識、考え方を覆された。
ニコルのもとで 今まで知らなかった世界を見せられた。
厳しい下積み時代、十分な睡眠もとれず 意思の疎通もままならず
そういう時間をもったことのある人は
意義のある仕事で何日徹夜が続いても 生き生きとしている。
現代のやり方は違ってきていても
今居る自分を支えているのはこういった時間なのだから しょうがない。

大切なことに気づかせてくれる人へ感謝して
想いを忘れず
自分も大切にしていきたいなぁ と考えるのです。

 

 

カテゴリー: BLOG
Ayako Itsuki
2002年より、ドイツに渡りフローリストの修行を始め、2005年にドイツ国家認定フローリストの資格を取得。2006年からは、世界でもフラワーデザインのレベルが高いオーストリアにて、世界的に有名なフローリストマイスターNicole von Boletzkyのアシスタントとして、数々のヨーロッパ最大級のフラワーエキシビジョンに参加。 詳しくはこちら
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